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【白血球の異常】急性前骨髄球性白血病(APL)とは?

問題

20代女性のAさんは、急性前骨髄球性白血病(APL)を発症し入院中である。
下記の会話は、病室におけるAさんとその兄の会話である。
会話の中でAさんが求める市販薬を、兄が買ってきて服用させてもいいか否かを答えなさい。

 

Aさん
Aさん
なんか最近だるいし鼻血が頻繁に出るな~って思ってたら、白血病だなんてびっくりよね。
転職先の仕事もようやく慣れてきたところだったのに。当分入院なんて散々だわ。
兄
まあそういうなよ。きっと神様が今は休めって言ってるんだ。
Aさん
Aさん
このまま私死ぬの?
兄
バカ言うなよ。先生も画期的な治療薬があるから治る病気ですって言ってたじゃないか。
Aさん
Aさん
画期的な薬ねぇ・・・。なんていう薬だっけ?
兄
ベサノイドっていうカプセルだな。
Aさん
Aさん
どの辺が画期的なの?
兄
分子標的薬ベサノイドが登場するまではアントラサイクリン系の抗生物質を投与していたらしいんだけど、白血病の完全寛解率は約70%だったそうだ。
それがベサノイドを使うようになってからは90%以上の完全寛解率になったそうだ。
Aさん
Aさん
へえ、そうなんだ。
ところで兄さん、Twitterで病中の栄養補給にビタミンAが良いって聞いたんだけど、チョコラADっていう市販薬買ってきてくれるかな。
兄
ほう、ビタミンAがいいのか。じゃあ買ってきていいか主治医に相談してみるよ。
Aさん
Aさん
よろしくね、兄さん。

 

回答と解説

 

兄
ということなんですが、先生。チョコラADを飲ませてもいいでしょうか?
主治医
主治医
だめです。
兄
えっ、なんでですか?
主治医
主治医
お兄様は登録販売者としてドラッグストアで働いているそうですね。
兄
はい、そうですが・・・。
主治医
主治医
急性前骨髄球性白血病(APL)とはどういう病態かご存知ですか?
兄
はい。
通常、造血前駆細胞は前骨髄球へと分化し、成熟好中球となります。
好中球の分化には、前骨髄球においてRARA蛋白という核内受容体にレチノイン酸が結合することが必要になります。
主治医
主治医
そうです。では、APLの場合はどうなっていますか?
兄
特徴的な染色体異常により、PML-RARA蛋白という核内受容体が産生され、これがRARA蛋白のレチノイン酸との結合を妨げてしまいます。
これにより、前骨髄球は好中球へと分化できず、異常前骨髄球(白血病細胞)として増殖してしまいます。
したがって、正常な働きをする好中球の数が相対的に減ってしまい、全身倦怠感や出血などの症状を引き起こします。
主治医
主治医
では、元凶である異常前骨髄球を減らすにはどうすればいいですか?
兄
分化させてしまえば数日でアポトーシス(細胞死)するので何とかして分化させたいんですが・・・
主治医
主治医
そのためにはRARA蛋白にレチノイン酸をしっかり結合させてあげなければいけませんね。
しかしPML-RARA蛋白がいるために、通常ヒトの体に存在しているレチノイン酸だけでは足りないわけです。そのため、ベサノイドでレチノイン酸を補充するのです。
兄
ではなぜビタミンA含有製剤であるチョコラADを併用してはいけないんですか?
主治医
主治医
ベサノイドの成分をトレチノインといいますが、このトレチノインはATRA(全トランス型レチノイン酸)という活性型ビタミンAです。
よって、ビタミンA含有製剤と併用するとビタミンA過剰症となり、頭痛などの副作用が起こり得ます。
兄
わかりました。チョコラADはやめます。

 

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