下記の会話は、とあるドラッグストアにおける接客の様子である。
お客様にお勧めするものとして、適切なものを選択肢a~dの中から1つ選びなさい。
a)ウコンの力
・秋ウコン(ビサクロン400μg、クルクミン30μg)
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンB6
・ナイアシン
b)ヘパリーゼプラスⅡ
・肝臓水解物
・イノシトール
・ビタミンB2
・ビタミンE酢酸エステル
c)ハイチオールCホワイティア
・アスコルビン酸
・L-システイン
・パントテン酸カルシウム
d)ポカリスエット
回答
選択肢bの「ヘパリーゼプラスⅡ」が正解です。
会話の内容を添削していきます。
まずウコンは二日酔いというより、脂っぽい食事の分解を助ける胆汁の分泌を促す作用のほうがメインです。
なお、ウコン商材はクルクミンの含有量がより多いものを選ぶのがポイントです。
ポカリはもちろんアルコール脱水による水分補給に最適ですが・・・飲み会前にポカリを飲んでおけば二日酔いにならないわけではありません。
むしろ飲み会の後に飲むことで、翌日の二日酔い予防になります。
残る選択肢はbの「ヘパリーゼプラスⅡ」とcの「ハイチオールCホワイティア」ですが、それぞれ肝臓水解物とL-システインが二日酔い予防に効きます。
結論からいえば、肝臓水解物のほうがほろ酔い気分を残しつつ二日酔い予防ができますが、この理由は肝臓におけるアルコールの代謝に関係があります。

肝臓において、アルコールはまずアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに代謝されます。
次にこのアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に代謝され、最終的に水や二酸化炭素として尿中や呼気から排出されます。
L-システインはADHもALDHも促進させるため、体内に入ったアルコールをいち早く無害な物質に代謝させます。
よって、アルコールとして残っている時間が比較的短いため、飲み会中でもそもそも酔いにくい状態になります。
それに対し、肝臓水解物はALDHのみ促進させるため、頭痛などの二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの無害化は早いですが、アルコールからアセトアルデヒドに代謝される過程が通常通りのスピードのため、アルコールが脳に移行し、ほろ酔い気分を味わえます。
よって、選択肢bの「ヘパリーゼプラスⅡ」が正解です。
少し前の研究で、L-システインが糖尿病を悪化させるという発表がありました。
インスリン分泌を阻害してしまうようですので、添付文書にはありませんが、念のため糖尿病を患っている方にはおすすめしないほうがいいでしょう。